きゃんどる洞窟

すらりぬらりとイデアさん[idea]、手記綴ら...

吊り独楽


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私はあまつか。


冒険者であり、

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元メイドだ。


いまの私は冒険者としてではなく、一人のメイド・・・女としてある場所へ向かっている 。



2,3時間前。

冒険者の私はいつものように依頼を確認するため酒場に行き、何時まで経っても慣れない酒を呑んでいた。変わり映えのしない毎日にいい加減嫌気が差していたとき

どこからか話し声が聞こえた。




「・・・・・そういや知ってっか」

「あぁ?」

「ドライボーンのほうでよ、行方不明者が見つかったんだとよ」

「今時珍しいな」

「それにその発見されたやつってのがよォ、なんでもどっかの屋敷の主人らしいんだ」

「身代金誘拐か?」

「いや、原因不明らしい。失踪した当時、仕えてた奴等が冒険者まで雇って散々探してたんだと。だがそんときゃ一切の手掛かりも見つからなかったそうだ。それから・・・見つけた奴には親族からかなりの謝礼金が払われたらしい」

「羨ましい限りだな。俺たちも今度そういう募集探してみっか・・・・・」




・・・あの人だ。



間違いない。


見つかったのは私のご主人様だ。





突然のことだった。

あの人が消えたのは。


失踪が判明してすぐ、仕えていた者達は屋敷付近を隈なく捜索した。しかしどれだけ捜索範囲を広げても手掛かりはおろか、目撃者さえ出なかった。そうしてとうとう私たちは幾人かの冒険者を雇い捜索隊まで編成することにした。

冒険者を雇って3週間程だったと思う。依然行方不明のまま、捜索は打ち切られた。


主人が不在となったことで仕えていた者たちは一斉に解雇、屋敷もほかの者の手に譲られることとなった。



あれからどれだけ経ったろうか。

一緒に仕えていたメイド達がその後それぞれ別の屋敷に仕えているなか、私だけが冒険者となった。そうさせたのは、冒険者として旅を続けていればきっと会えるかもしれないそう思う、まだどこかであの人を諦め切れない、はなから有りもしないような光にすがっている自分の弱さからだろう。


それでも今、報われたのだ。

私は間違ってなどなかったのだ。


「・・・いま参ります、御主人様。」
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ようやく会える。

気付けば私の身体は既にあの人のもとへと向かっていた。




いつにも増して雨が激しい。

視界も悪く前に進むことさえままならない。
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しかし妙な感覚だった。集落に近づくにつれて何か既視感のようなものを感じずにはいられなかったのだ。


不思議に思った私は、何かそうしなければならない気がして集落周辺を回ってみることにした。





そのときだった。



私はその瞬間今までの行動すべてに疑念を感じずにはいられず、また同時に自分自身に戦慄し、吐き気を覚えた。













どうして気付かなかったのだろう。


いや、そうじゃない。




どうして気付かなかったふりをしていたのだろう。







知っていた。






私はもう、あの人がいないことを知っていたのだ。




知っていて、目を閉じていた。








私は目の前にいるあの人を見下ろしながら思惟する。

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そうだ。




そうだった。







私があの人を殺したのだ。





気付くと私は走っていた。


無我夢中だった。




微かな意識の中で私は決心する。



もういい加減、目を開かなければいけないのだと思う。


目を開けて前を見なければならない時がきたのだ。







もう終わりにしよう。




そう誓った瞬間にはいつの間にか着いていた部屋のベッドで、意識が途切れたように眠っていた。














翌日の夜、私は酒場のカウンターに座っていた。

そんな折、どこからともなく話し声が聞こえるのだった。






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